日産から5代目セレナのラインナップに”e-POWER”が加わりました。
3月1日に満を持して発売開始となったニューパワートレインの実力を確かめたく、試乗してきました。
試乗は2回行なっています。
1回目は、曇天・気温8度の肌寒く空気が重く感じられる日でした。
グレードは、e-POWER ハイウェイスター V ダイヤモンドブラック!
2回目は、快晴・気温15度の春の風が吹き抜ける爽やかな日となりました。
グレードは、e-POWER ハイウェイスター V ブリリアントホワイトパール!
それぞれの日で、走りの感じ方にも違いがありましたのでご紹介します。
セレナe-POWERの外観はどう?何が違うの?
”e-POWER”は、5代目セレナに追加されたグレードで外観的に大きく変わったところはありません。
ただ、5代目セレナは4代目から大きくデザイン変更され発売以来人気を得ています。
ガソリン車とe-POWERの違いをあえて言うなら、グリルにブルーのラインが2本(ハイウェイスター系)入り、「eco」を主張しているところでしょうか。
引き締まった顔になりかっこいいですね!
リアはライト類が専用のものとなり、よりスマートになっています。
往年のスカイラインの象徴とも言われていた「サーフィンライン」が復活したようなサイドビューがいいですね。
セレナe-PWOREのインテリア
まず第一にすごく居心地が良さそうな印象でした。
窓も大きく、広く開放的な空間はシートが直線的でスポーティーな感じがします。
ミニバンクラス№1の広さというのもうなずけます。
ステアリングはF1のような変形D型で、膝や太ももに余裕があり乗り込みやすいです。
目を引くのは、ディーラーオプションの9インチナビゲーション。
ハンドルの横で視線移動が少ないことに加え、表示される文字が大きいので年配の方にも優しくなっています。
シフトノブは、手を伸ばせばそこにあるという位置になっています。
シフトの操作はガソリン車と違ってちょっと特殊です。
でも操作はとても簡単。
横に引いて下に下げると前進、横に引いて上に上げると後退のツーモーションです。
セカンドシート(2列目)
セカンドシートは両側にアームレストが付いたキャプテンシートとなっています。
参照:セレナ公式サイト
さらに、超ロングスライドで足元ゆったり、横スライドもあって便利です。
ちなみに、e-POWERはすべてキャプテンシートの7人乗りとなっています。
8人乗りが希望なら、ガソリン車を選ぶしかないでしょう。
サードシート(3列目)
サードシートも前後スライドにリクライニング機構も付いていてゆったりと座ることができます。
2列めよりは座り心地は劣りますが、それでもまずまずの座り心地。長時間でもいけそうです!
また、3列目には3人乗車が出来て、真ん中の人もシートベルトが肩から掛けられるので安全性も高いです。
外観と内装を見てきましたが、なかなかかっこよく仕上がっていると思います。
最近のトヨタ車はちょっといかついデザインが多くあまり好きになれないので、セレナの落ち着いたデザインには惹かれます。
内装もシンプルかつ使いやすく設計されていて好印象を受けました。
乗り心地が気になるところですので、早速試乗に行きましょう!
試乗1回目。e-POWERの実力はどうなのか?
まずは「e-POWER ハイウェイスター V ダイヤモンドブラック」の試乗です。
「ご用意できました」の声が終わらないうちに立ち上がっていました。
好評のノートe-POWERで実績のあるシステムが、ミニバンでどんな走りをしてくれるのか大変楽しみです。
ちなみにe-POWERは、電気だけで走るのはEVと同じです。
何が違うのかと言うと、ガソリンでエンジンを動かすのではなく、ガソリンでモーターを充電してモーターで車を動かしています。
従来のガソリン車やハイブリッド車と何が違うのかと言うと、「加速」です!
ノートe-POWERでは「一踏み惚れ」というキャッチコピーが使われていたので、どのくらいの加速なのかめちゃくちゃ楽しみです!
燃料消費率(JC08モード)は26.2km/Lと、ミニバンクラス№1の低燃費。
エンジンは、ノートe-POWERの3気筒1.2Lを高出力化しています。
最近のトレンドとなっている小排気量車の3気筒エンジンは、高トルク低燃費が特徴です。
おっと、話が脱線してしまいました。
さっそく暖機運転中のe-POWERに乗り込みます。
本革巻き3本スポークの柔らかい感触が手になじむ握りやすい仕様です。
しかし、がっかりしたのはナビが付いていません。
厚紙にナビ画面を印刷されたものが貼り付けてあります。
残念。気を取り直してスタートします。
Nomalモードを試してみる
シフトを「D」の位置へ入れるだけで、あとはお任せとなっています。これが「Nomalモード」です。
しばらくはこの走行モードで走ります。
アクセルを踏むと「スルスルッ」という感じで、思った以上の加速感でびっくりです。
試乗区間は街路のみでした。
当日は外気温8度の肌寒い日で暖房を入れていたのですが、エンジンはほとんど動きっぱなしでした。
PTC素子ヒーター(e-POWERには標準装備)という、今までの温水式ヒーターより素早く車内を暖めることができる装置が付いているらしいです。
信号が近づいて減速すると、「ヒュヒュヒュヒュヒュ」という音がします。
どうやらモーターが発する音らしいのですが、慣れれば気にならなくなるのかもしれません。
停止からの発進加速はトルクを感じるスムーズさです。
次に、追い越し加速を試しました。
走行中にアクセルを踏み込み隣の車を追い越してみます。
あれ?反応が悪い・・・。
もう少し加速力があると思いましたが、ギューインというわけには行かず、普通の加速感でした。
ノーマルモードだからかな・・・・。
e-POWER Driveはどう?アクセルワークが難しい
次に、「e-POWER Drive」を試してみます。
テレビのCMでご存知かもしれませんが、アクセルペダルだけで加速・減速がコントロールできるというシステムです。
アクセルからブレーキペダルへの踏み換えが大幅に軽減されます。
「e-POWER Drive」をテストします!
おっと、なんだかギクシャクしてしまいます。
これはなかなか難しいですね。
いつもは、アクセルを踏み込んで加速したらアクセルから足を離しますよね。
e-POWER Driveだとアクセルから足を離すとエンジンブレーキが作動するので、減速してしまいます。
アクセルワークには一定の慣れが必要です。
信号機の手前でどこまで減速できるのかを試してみました。
アクセルを戻すとブレーキを踏んだような減速が始まり、前車手前で完全に停止。
ブレーキを使わず停止まで出来ました。
この時点で、クリープ(わずかに前進すること)は発生していません。
改めてブレーキを踏み、ブレーキを離すとクリープが始まります。
「e-POWER Drive」には、「Sモード」と、「ECOモード」があります。
Sモード | 通常の加速力。強い減速力。 |
ECOモード | 緩い加速力。 強い減速力。 |
という感じです。
走行シーンに応じた最適なモードを選択することにより、運転者のストレスを減らしてくれることになるでしょう。
Sモードは、渋滞時・山道・雪道や下り坂などで。
ECOモードは、渋滞時や街路等に最適かと思います。
”チャージモード”と”マナーモード”
これは、エンジン音なしで静かに走りたいときに重宝します。
深夜や早朝、静かに帰宅または出発したいときがありますね。
バッテリー残量が少なければ、事前にチャージモードで充電しておきます。
静かに走りたい処でマナーモードのスイッチを押します。
2~3kmは走りましたが、バッテリー残量は余裕です。
さて、試乗もそろそろ終了に近づいてきました。
暖房を入れていたせいか、結構エンジンがかかっていましたので、モーター走行で静かだと感じる区間が少なかった印象です。
運転席と助手席の下にリチウムイオン電池がありますが、容量はあまり多くないようです。
2回目の試乗で印象がガラッと変わった!
2回目は、快晴・気温15度の春の風が吹き抜ける爽やかな日となりました。
グレードは、e-POWER ハイウェイスター V ブリリアントホワイトパール!
オプション類もいっぱい詰め込んだ試乗車ですとのこと。
思わず、「いいですね~」と声を上げました。
ブリリアントホワイトパールにグリルのブルーのラインがアクセントとなり映えます。
筆者的には、この色が好きです。
e-POWERシリーズ専用色の「ミントホワイトパール」を含め、全13色からお気に入りを選ぶのも楽しみですね。
フロントからサイド、リヤと回り込んで、”いいな”と思いながら運転席へ。
あっ、ありました。9インチナビが装備されています。
文字が大きく表示されて、とても見やすいです。7インチとは比べものにならないです。
さらに、後席専用モニター11インチも付いていて、Blu-rayやDVDなども楽しめます。
それでは2回目の試乗をスタートします。
やはり出だしの加速感は素晴らしいです。
しばらく走行するとエンジンがストップし急に静かに。わずかなモーター音がするだけです。
外気が15度で暖房もいれていない状況ですと、そんなにエンジンがかからない様子です。
前回と違い、非常に静かに走ります。
e-POWER DriveのSモードにしてみます。
2回目ですので少しは慣れているのではと思いましたが、相変わらずギクシャクしてしまいました。
まだ修行が足りないようです。
追い越し加速(実際に追い越しはしません)を試します。
やはり反応は少し鈍いような感じです。
リチウムイオンバッテリーは半分くらいでしたが、マナーモードで走ってみます。
1kmほど走りましたが、バッテリー残量はほとんど変わりません。
今回の総合的な印象は、”とても良かった!”です。
エンジンもほとんどかかりませんでしたし、爽やかな気候と爽やかなボディーカラーで、このままずっと走っていたいと思わせるe-POWERでした。
セレナe-POWERの実燃費はどのくらい?
ディーラーに戻ってきました。
ディスプレイ上での燃費は、「7.8km/L」と表示されていました。
2月28日に車が届いて、3月1日発売開始。
そんなに日が経っていませんし、短距離しか走っていないという条件下では参考にならない数値です。
実燃費予想は、16~17km/Lくらいにはなるでしょう。
総合的な印象は、エンジン音とかモーター音が少し気になりましたが楽しい車に違いありません。
家族で、あるいは気の合う仲間と遠出を楽しむ余裕の空間と言えると思います。
セレナe-POWERの価格はいくら?見積もりをもらってビックリ
グレードごとの車両本体価格は以下の通り。
グレード | 車両本体価格(税込) |
---|---|
e-POWER X | 2,968,920円 |
e-POWER XV | 3,128,760円 |
e-POWER ハイウェイスター | 3,178,440円 |
e-POWER ハイウェイスター V | 3,404,160円 |
e-POWER AUTECH | 3,821,040円 |
別途リサイクル料金 10,480円
ちなみに、現段階で駆動は2WDのみです。4WDはありません。
将来的に4WDが発売される可能性はありますが、公式発表はありません。
試乗に行った際に見積もりももらってきました。
こちら↓(クリックしたら大きくなります)
グレードはハイウェイスターVの2WDでなぜか寒冷地仕様。
あれこれオプションを付けて、乗り出し価格は4,551,665円!
ひえ~~。高い!
付属品が55万円、諸費用が13万円、税金が36,780円でした。
オプションを少し削れば450万以下に抑えられるかな。
あとは、値引きと下取りにかかってきますね。
値引きはいくらできるのか?
「ちなみに、値引きはどのくらいできますか?」
「全然無いと思ってください。」
「・・・え!?」
「まあ、しかし商売ですので少しは何とか出来るかも・・・」
という、ガードが堅そうな言葉が出て来ました。
今回、下取り車なしということでお話をさせて頂きましたが、もう少し押してみましょう。
「10万円くらいはいけますか?」と聞きますと、
「うん、まあ何とかなるかも…」
というはっきりしない様子です。
ハイグレードだし、オプションも色々付けたのでもう少し押してみましょう。
「このグレードにオプションを付けたのdえ20万円はいけますかね?」
「下取り車があれば、色々とお話が出来ますので出来ればそちらの方向でお考えくださいませんか。」
20万円の値引きは”あり”と感じました。
お話をさせて頂いたなかで、ノアやヴォクシーがよく出て来ましたので競合と考えているようです。
e-POWERとハイブリッドの実質燃費では多分同等だと思われます。
セレナe-POWERの値引き交渉はこうやれ!
家に帰ってからネットや雑誌でe-POWERの値引きについて調べてみました。
やはり発売されたばかりなので、値引きはかなり渋めです。
5万円以上はできません!
と強気に出てくる営業マンもいるそうです。
しかし、ライバルであるヴォクシーやノア、ステップワゴンと競合させることで値引きは引き出せます。
また近くに経営資本の異なる日産があるならセレナ同士で競合もありですね!
うまく交渉がはまれば15万円くらいは普通に値引きできます。
グレードやオプションによっては、20万円も見えてくるのでしっかりと交渉していきたいですね。
下取りと買い取りどっちが良い?
商談の中で「下取り車があれば・・・」と営業マンが言っていましたが、ディーラー下取りだけを考えていると損をします。
まずは一括査定などで複数の業者にいくらで売れるのか確認しましょう。
それから、ディーラーでも下取り価格を出してもらい、高く売れるところに売ったほうが良いですね!
実はこれだけでも平均16万円の違いが出ているのです。
値引き交渉は骨が折れる作業ですが、査定はネットで簡単にできるので、やっておいたほうが良いでしょう。
おすすめのオプションはどれ?
セレナe-POWERには様々な便利オプションが設定されています。
今回勧められたのはこちら
寒冷地仕様:83,100円
セーフティーパックA:113,400円
セーフティーパックB:243,000円
ナビレコツインモニターパック+ETC2.0ユニット:422,259円
ベーシック3点パック:99,360円
ハンズフリーオートスライドドア:64,800円
オットマン:19,980円
マルチアウトレット:24,480円
寒冷地仕様 83,100円
寒冷地仕様にすると以下の装備が付きます。
さむーい地域に住んでいるひとは検討してみてください。
①ヒーター付きドアミラー
②オートデュアルエアコン
③高濃度不凍液
④ヒーターダクト(3列目足元)3列目シートをよく使う方は、ヒーターダクトがないと寒いようです。
⑤ステアリングヒーター
⑥前席クイックコンフォートヒーター付きシート
先進安全装備をパックにしたオプションがあります。
セーフティーパックA 113,400円
セーフティパックAには以下の装備がついています
①SRSカーテンエアバックシステム&サイドエアバッグシステム(前席)
②踏み間違い衝突防止アシスト(前進時車両・歩行者検知機能)
③インテリジェントパーキングアシスト
④進入禁止標識検知
⑤最高速度標識検知
⑥一時停止標識検知
⑦アラウンドビューモニター
⑧(MOD移動物検知機能付)
⑨ふらつき警報
⑩フロント&バックソナー
⑪ヒーター付きドアミラー
⑫ステアリングスイッチ(アドバンスドドライブアシストディスプレイ設定、クルーズコントロール、オーディオ)
安全性を高めたい方にはおすすめです!
セーフティーパックB 243,000円
さらに安全性を高め、利便性を追求するならこちら。
先程のセーフティパックAに下記の装備が追加されます。
①インテリジェントルームミラー
②電動パーキングブレーキ
③オートブレーキホールド
④プロパイロット
⑤LDP(車線逸脱防止支援システム)
⑥ステアリングスイッチ(プロパイロット)
プロパイロットは高速道路での運転支援システムで、高速を頻繁に使うなら付けておくと負担が減りますよ。
ナビ
ナビはいくつか種類があって迷ってしまいます。
何が違うのかと言うと、モニターのサイズやドライブレコーダーの有無、後部席モニターなどでしょう。
モニターサイズは大きいほうが見やすいですが金額がネックになりますね。
ナビレコツインモニターパック+ETC2.0ユニット:422,259円
・9インチ大画面ナビ
・11インチの大迫力後席専用モニター
・ドライブレコーダー
・ETC2.0ユニット
ナビレコお買い得パック+ETC2.0ユニット:334,000円
・9インチ大画面ナビ
・ドライブレコーダー
・ETC2.0ユニット
定番!ベーシック3点パック:99,360円
一番人気のオプションです。
必要ない人は無理につけなくてもいいと思います。
3点パックの内容は以下のものです。
・プラスチックバイザー
・ナンバープレートリムセット+ナンバープレートロック
・フロアカーペット
ハンズフリーオートスライドドア:64,800円
スライドドアの下に足を入れるとドアが開閉するシステムです。
両手がふさがっている時(買い物や赤ちゃんを抱っこ)に重宝するとのことですが、私は必要性を感じませんでした。
オットマン:19,980円
今までオットマンは、アルファードやヴェルファイア、エルグランドなど高級ミニバンの装備でした。
ついにMクラスミニバンにも登場です!
足元楽ちんで良いかもしれませんね。2万出してつけようとは思いませんが・・・・。
マルチアウトレット(AC100V電源:最大出力100W):24,480円
車にコンセントが欲しいなら付けておくべし!
車中泊やアウトドアで大活躍ですよ!
気になったオプションはこれ!
新車を買う時に迷うのがオプションですよね。
ナビやETCなどは必須ですが、どのグレードにするのかはかなり迷います。
今回の試乗で、やはり9インチのナビは良いなと思いました。
あと、ちょっと珍しく便利なオプションが付いていたので紹介しますね。
インテリジェントルームミラー
試乗車にはインテリジェントルームミラー(オプション)が装備されていました。
後方カメラの映像を映すので、後席の人の顔や窓枠などがなくとても見やすいです。
荷物を一杯載せて後方窓をふさいでしまってもクリアに見えるので安全です。
夜間は、後続車のライトが当たっても眩しくはないとのこと。
信号待ちなんかで、後続者の顔が見えるような鮮明でした。
通常ミラーとの切り替えも出来ます。
インテリジェントルームミラーは、後述のオプション(セーフティーパックB)に含まれています。
現在、単体でのオプション設定はありません。
インテリジェントパーキングアシスト
また、インテリジェントパーキングアシスト(駐車支援システム)(オプション)も装備されていました。
これは少し慣れが必要ですが、アクセルとブレーキを操作するだけで、ハンドル操作はシステムがやってくれます。
駐車が苦手な方には安心です。
まとめ
長々と書いてきましたが、セレナe-POWER、いいです!
価格はちょっとお高いですが、ヴォクシーHVなどと同じ価格帯です。
ハイブリッドミニバンがほしいな・・・。と考えているならセレナe-POWERをぜひ試乗してみてください。
操作性にはちょっと慣れも必要ですがなかなか楽しいです。
加速も他のミニバンと比べると一つ頭飛び出たかな!という印象です。
燃費も室内空間の広さもクラスNo1ですよ!