パジェロは国産SUVの先駆け。
乗用車的な内外装でありながら、悪路も走れる本格派として、1990年代のRVブームを支えました。
ですが、近年は都会的なSUVに押され売り上げが低迷し、残念ながら2019年8月で生産終了。
現行モデルは発売からすでに13年が経過しており、売却を検討中の人もいると思います。
そこで、この記事では以下のような疑問にお答えします。
- パジェロの買取相場ってどのくらい?
- 高値が付くグレードやオプションってあるの?
- 高値になる方法は?
- オークションや下取りって、買取よりもお得?
買取の相場を年式や走行距離ごとにわかりやすく説明し、高値になる条件も紹介します。
パジェロの売却を考えている方のご参考になれば幸いです。
パジェロの買取相場
2019年7月現在パジェロの平均買取価格は、42万9,370円です。
10年落ちや過走行の車体も含めた数字だからね。
では、相場をもう少し詳しく見ていきましょう。
10年落ちでも10万km以上でも値がつく
パジェロは日本国内での生産は終了しましたが、海外では「パジェロスポーツ」の生産が継続中です。
パジェロスポーツは例えるなら、ランドクルーザープラドのような本家パジェロのライト版。
ランドクルーザーより安い、パワーと耐久性が高い本格SUVとして人気です。
そんな影響を受けて、10年落ちでも10万km以上でも値が付きます。
具体的な数値を見てみましょう。
年式ごとの買取相場
以下は、年式ごとの平均買取価格をグラフ化したものです。
出典:車選び.com
10年落ちの2009年ぐらいまで、急激に値下がっています。
値下がり幅は、1年あたり100万円ぐらい。
2012年は7年落ちとなるタイミングで、値下がりやすい時期なんです。
これはパジェロに限ったことではなく、中古車全般に言える傾向です。
その他値下がる原因としては、以下の3つが考えられます。
- メーカー保証切れ
- モデルチェンジ
- 輸出規制
日本の中古車って、世界中に輸出しているんです。
そして、輸出先の国々では、様々な規制を設けています。
主な目的としては整備不良の予防や、自国の自動車産業を守るといったことがあげられます。
規制の中でも多いのは、「新車登録から3~7年以内」というもので、この期間は関税が安いんです。
でも、7年落ち以降は規制の対象外なので、関税が高くなっちゃうんですね。
その他、法定耐用年数の6年を超えて、資産価値がゼロになるから、という理由もあります。
海外で需要があるからね。
縛りが緩い国が他にあって、そこに輸出するんですよ。
おかげで2012年以降も値下がり続けますが、その幅は最大でも20~30万円ぐらいと緩やか。
10年落ち以降は値が付かない車種もある中、なかなかの健闘ぶりです。
走行距離ごとの買取相場
続いて、走行距離ごとの買取相場を見てみましょう。
出典:車選び.com
1~6万kmぐらいまでは値動きが激しいものの、7万km以降で緩やかになっていきます。
一般に中古車は「1年あたり1万km」という目安で、評価します。
なので、7万kmは7年落ちぐらいと見れます。
前項で紹介した年式ごとのデータも、値下がりが緩やかになり始めたのは7年目からでした。
7年目は車検や輸出規制などの理由で、需要が減少しやすい時期です。
走行距離ごとのデータは上下に激しく値動きしますが、10万km以上でも値がついています。
普通は走行距離が10万kmを越えると、部品が消耗してきますし、税金も高くなるので、値下がりやすいんです。
それでも、パジェロは海外で人気があるので、値が付きます。
海外では10万kmなんて序の口で、まだ現役の扱いなんです。
発展途上国では安い方が歓迎されるので、多少古くても売れちゃうんです。
でも、車体の状態や輸出先の規制事情で変わります。
高額査定になる条件はコレ
ざっくりと相場がわかったところで、より具体的に査定の有利になる条件を紹介します。
グレードや色によっても、買取金額にかなり差が出ることもあるんですよ。
知らないと、安く買い取られて損しちゃうかも?
グレード:海外需要でディーゼル・ロングは有利
パジェロの場合、高値になるポイントはグレードと言うよりも仕様と海外需要です。
具体的には以下の2つ。
- ディーゼル
- ロング
ディーゼル:パワーと燃料費の安さで人気
以下は、中古車の輸出台数が多い国トップ10です。
- アラブ首長国連邦
- ロシア
- ニュージーランド
- ケニア
- チリ
- ミャンマー
- モンゴル
- タンザニア
- フィリピン
- ジョージア
出典:グーネット自動車流通
主な輸出先は中東やアフリカ、アジアの国々です。
輸出先の中には道路が十分に整備されていない国もあります。
だから、悪路を走るのにパワーのあるディーゼルが良いんです。
また、ディーゼルに使う軽油は価格が安い、というメリットもあります。
排ガス規制よりも経済の発展が優先、という国もありますからね。
ロング:積載能力の高さで人気。
海外では積載能力の高さで、ショートよりロングが人気です。
1世帯あたりの人数も多いでしょうね。
国によって、車選びの基準も色々です。
色:ホワイトパールとブラックが断トツで高値
色はホワイトパールとブラックが、他の色よりも高値です。
同じグレードでも、他の色より50万円以上高値になる例もあります。
また、件数も2倍近い差があるんですよ。
それだけ車を選ぶ上で色が重視されていることの現れ、と言えます。
さらに、ホワイト系とブラック系の人気は、パジェロだけではなく、車全般に言えることです。
オプション:電動サンルーフ・ルーフレールが人気
オプションでも買取価格に差が出ます。
特に高値になるのは、以下の2つ。
- 電動サンルーフ
- ルーフレール
電動サンルーフは車内を明るくし、開放感を演出するオプションとして、とても人気です。
パジェロの電動サンルーフは開口部が広く、2列目の席まで開きます。
また、天井から外の様子を見るのに便利という理由で、海外でも人気があります。
積載能力をアップさせるルーフレールも、海外需要が高いオプションです。
海外に輸出する必須条件になっていることすらあるので、付いていれば高値が期待できます。
このため5年落ち以降でも、いずれか一つでも付いていれば5万円以上プラスされることもあるんですよ。
実際に中古車情報サイトでチェックしてみると、その差がわかります。
<サンフールあり>
<サンルーフなし>
出典:カーセンサー
いずれも同じぐらいの年式やグレードですが、サンルーフ付きは走行距離が長いにも関わらず、10万円ほど高値。
もし付いているなら、高値になるチャンスかもしれません。
買取高額にするための豆知識
もちろん、あります。
ちょっとしたことで、買取価格が変わってくることもあるので、知っておくとお得です。
輸出専門の業者に売る
買取業者にも得手不得手があります。
例えば、飲食店はジャンルごとに分かれていますよね。
割り勘でよろしく。
飲食店と同じように、買取業者にも専門分野があります。
パジェロの場合は海外で人気があるので、輸出に強い業者に売ると高値になりやすいんです。
普通は判断が難しいと思います。
その代わりにオススメしたいのが、一括査定です。
複数の業者を競合させることで、高値がつきやすくなります。
掃除をする:車も見た目が大事
「人は見た目が9割」と言う本がベストセラーになったように、見た目は大事です。
例えば、髪は寝ぐせでグシャグシャ、無精ひげが生えてて、着てるシャツもヨレヨレな人を信用できますか?
車も同じです。
車が汚れていると、査定員も「この車、ちゃんと手入れしていないのかも」なんて不安になりがちです。
すると、高値を付けたくないって思っちゃいますよね。
なので、買取前には掃除をしましょう。
シートについたシミなども、洗剤を含ませた布で叩くように落とすとキレイになります。
また、タバコを吸う人がいる場合は、窓を開けてなるべく臭いを取りましょう。
これだけで買取価格がアップするかもしれません。
焦らない
車の買取価格は、日々値下がります。
1ヶ月遅れただけで、数十万円も値下がることもあります。
それだけに早く売ろうと、焦ってしまう人もいるかもしれません。
でも、その気持ちはグッとこらえて、冷静に交渉しましょう。
買取業者に焦っていることを気づかれたら、「安くしても大丈夫そう」と思われるかもしれません。
オークションや下取りの相場はお得?
買取以外に、オークションと下取りでも車は売れます。
ここでは、買取と比べたそれぞれのメリットとデメリットを紹介します。
オークション:落札されなくても手数料がかかる恐れアリ
まずメリットとしては、買取よりも高値になりやすい点。
その理由は流通ルートの違いです。
買取とオークションの流通ルートを簡単に書くと、以下のような感じになります。
【買取】 |
---|
「買取」→「オークション」→「販売」 |
【オークション】 |
「オークション」だけ |
買取が3ステップなのに対し、オークションは1ステップだけです。
しかも、オークションは在庫車や店舗もいりません。
だから、余分なコストがかからず、その分買取よりも高値が付けられるんです。
カーオクサポートの予想相場と買取相場を比較してみましょう。
オークションと買取の相場を比較
買取よりもオークション代行でイイじゃん?
でも、良いことばかりではないんですよ。
オークションは、お客の代わりに出品する手数料で利益を得ています。
そうですね。
ただ、車がオークションで必ず落札されるとは限りません。
その場合でも、手数料がかかるんです。
また、業者がウソの落札価格を報告する恐れもあります。
業者が実際の落札価格よりも低い金額を報告し、差額をポケットに入れてしまうのです。
業者に預けた車を持ち逃げされた、というトラブルも報告されています。
オークション代行は、買取のように在庫車や店舗が不要なこともあり、割と簡単に始められます。
このため、管理やサポートまで手が回りきらない小規模な業者もいて、トラブルが起こりやすいんです。
トラブルの回避には大手を利用するなど、防衛策もありますが、根本的な対策がないのが現状です。
オークション代行は、確かに買取よりも高値になるチャンスがあります。
でも、リスクも大きいので、注意が必要です。
下取り:査定金額よりも手軽さを優先したい人向け。
下取りのメリットとしては、まず何と言っても手間がかかりません。
買取は複数の業者と交渉したり、手続きが煩雑だったり、何かと手間がかかります。
乗り換える場合、売るタイミングによっては次の車がすぐに見つからず、不便になってしまうことも。
その点、下取りは交渉相手はディーラーだけなので、手間いらず。
購入と売却を同時に行えるので、乗り換える車の心配がありません。
逆にデメリットは、買取よりも安くなりがちな点です。
買取はその時の相場状況によって、買取価格が変動します。
他店との競争で、高値をつける場面もあります。
一方、下取りは相場に左右されませんので、高値を付ける必要がありません。
このため、買取よりも金額的に安くなりがちです。
一例として、実際のデータを見てみましょう。
あくまでも一例で、車の状態によっても変わりますが、やはり下取りの方が安くなりやすいのは確か。
でも、価格よりも簡単に売りたい人にはオススメです。
まとめ
最後にパジェロの買取について、ポイントをまとめます。
【買取相場の傾向】
海外需要があるので、10年落ち以降や10万km以上でも値が付きやすい。
【高値になる条件】
- グレード:ディーゼル・ロング
- 色:ホワイトパール・ブラック
- オプション:電動サンルーフ・ルーフレール
【高値で売るコツ】
- 輸出に強い業者に売る
- 査定前の掃除
- 焦らない
【オークションや下取り】
オークション
- 買取より高値
- 手数料がかかる
下取り
- 煩雑さがない
- 買取より安い
国内ではパジェロはあまり人気がなく、買取相場もそれほど高くありません。
でも、パジェロは海外で人気があるので、輸出に強い業者に売ると高値が付くかもしれません。