タイロッドエンドの役割
『タイロッドエンド』という部品の名前を今まで聞いたことがない!という方もいるかも知れませんね。
あまり聞き慣れない名称ですが、タイロッドエンドは運転に直接影響を与えるとっても大切な部品なんです。
では、タイロッドエンドはどんな役割を持っているのでしょうか?
タイロットエンドとは、正式にはステアリングタイロットエンドと呼ばれ、ステアリングリンゲージの一部です。
つまり、ハンドルの動きをタイヤに伝えるための部品ですね。
タイロットエンドの端にはグリスの入ったダストブーツが取付けられており、ブーツの内部にタイヤの方向を定めるためのボールジョイントが入っています。
車は、ハンドルを左右に動かすと、タイヤが同じように左右に動いて曲がることができますよね。
車がこのように動くためには、ハンドルの動きをタイヤに伝えるための部品が必要です。
その部品こそが『タイロッドエンド』なんです!
タイロッドエンドが故障するとどうなる?
イメージしてください。
あなたは、休日に家族でドライブに来ています。
目の前には急カーブ。
ブレーキを踏み、減速をしてからハンドルをゆっくりと回します。
ん?
ハンドルが効かない!!!!
慌てて急ブレーキを踏み、事なきを得ました。
いやぁ、危なかったですね。
急に車のハンドルが効かなくなったらめちゃくちゃ危険です。
タイロッドエンドが故障をして最悪の場合、このようにハンドルが効かなくなってしまいます。
なので、日頃からのメンテナンスはとっても大切ですよ!
なぜタイロッドエンドが故障するのか?
タイロットエンドの端にはダストブーツが付いており、ダストブーツ内部に操舵輪とのジョイント部分が入っています。
ダストブーツに問題がなかったとしても、操舵輪とのジョイント部分はハンドルを左右に動かす度に摩擦が起き、徐々に摩耗するためいずれ交換が必要となります。
タイロットエンドの端についているダストブーツはゴム製であり耐久性がありますが、運転中に石や砂利が巻き上げられ、徐々に損傷していきます。
ダストブーツ部分が損傷し亀裂が入ってしまうと、ブーツ内部に入っていた摩擦軽減のためのグリスが少なくなり、摩耗スピードが上がりいずれ故障します。
タイロッドエンドの故障の症状は?
操舵輪とのジョイント部分が摩耗してくると、ハンドルにカタカタする振動が伝わるようになります。
さらに摩耗が進むとハンドルを左右に切っても反応が遅くなり、最終的にジョイント部分が外れてしまいます。
ここまで故障が進むと、ハンドル操作ができなくなるため、大事故を起こす可能性もあるのです。
ハンドルに普段とは異なる振動がカタカタと伝わってきた段階で、タイロットエンドに問題が出ていないか調べてみましょう。
多くの場合、タイロットエンドの故障は自然に起きるというよりも、ダストブーツにヒビが入ることから始まります。
ダストブーツに亀裂が入ることで、徐々に内部のグリスが減ってしまい、ジョイント部分の摩耗スピードが上がってしまいます。
さらに大きなブーツに亀裂が入ると、亀裂部分から水が入り込み、ジョイント部分が腐食することもあります。
ですから大きな故障が起きていないとしても、ダストブーツに亀裂が入ってしまった場合はタイロットエンドの交換を検討できるでしょう。
ではタイロットエンドはどれくらいで交換する必要があるでしょうか?
タイロッドエンドの交換時期(寿命)は?
タイロットエンドの交換時期は以下の2点で決まります。
- ダストブーツゴムの寿命
- ジョイントボールの経年劣化
上記の理由によってハンドルにカタカタした振動が伝わってくるようになります。
ゴムの寿命
タイロットエンドのダストブーツに亀裂が入るタイミングが、通常最も早い交換時期になります。
使用期間とダストブーツ問題の関連性は、車の使用状況によるためはっきりした事は言えません。
平均的には5年ほどでゴムの劣化が出てくると言われているため、その情報を元に新車購入の場合は2回目の車検でブーツ交換を検討できるでしょう。
車検時に大きな問題が見られないのであれば、次の車検時にもう一度検査をする方法でも問題はありません。
ダストブーツに亀裂が入った状態でも、すぐに大きな故障になるわけではありませんが、亀裂から確実に水や埃が進入し、確実にジョイント部分を摩耗させていきます。
ですからブーツに亀裂が出てきたのであれば、いずれカタカタと音が出てくるので交換時期を遅らせないようにしましょう。
ジョイントボール部分の経年劣化
ダストブーツに亀裂が入っていなかったとしても、タイロットエンドはボールジョイントであるため、確実に摩耗が進んでいきます。
10万㎞や10年経過がジョイントボールの経年劣化時期と考えられます。
大きな問題が起きていないとしても、10年を目処に交換を検討しましょう。
多くの車で10年経過すると経年劣化によりハンドリングが悪くなり、ハンドルが少しカタカタしてきます。
タイロッドエンドの交換費用は?
タイロットエンドは、カタカタしてきたら交換を検討できますが、費用はどれくらい必要と思いますか?
タイロットエンドは左右同時交換の方が良い
タイロットエンドは左右の操舵輪に付いており、どちらか一方のみ交換する事もできます。
しかし1個交換しても2個交換しても作業時間は大きく変わらないため、一度に交換する方が賢明でしょう。
一方に亀裂が入っているのであれば、もう一方の寿命も近い事になり、いずれ交換の必要が生じます。
その時に改めて交換すると、もう一度作業工賃がかかってしまい、支払額が増えてしまうでしょう。
ですからタイロットエンドの交換は2個同時にする方が出費を抑えることができます。
タイロットエンド単体の費用
タイロットエンドのブーツの値段は1個1,000円ほどです。
本体に問題がない場合は、ブーツのみの交換でも良いかもしれませんが、一度タイロットエンドを取り外すため作業工賃は高くなります。
タイロットエンド(ダストブーツセット)単体の金額は、1個5,000円ほどになります。
そんなに高くはないですね。
タイロットエンド交換工賃
タイロットエンド本体の交換でも、タイロットエンドのブーツ交換でも、一度タイロットエンドを外さなければならないため、作業工賃はほとんど変わりません。
交換工賃は車種によって異なりますが、通常1時間から2時間の作業時間です。
ディーラーであれば7,000円から15,000円、修理工場であれば5,000円から11,000円ほどでしょう。
部品代と工賃を含めて、1万円~2万円で交換できます。
左右両方とも交換する場合は2~3万円程度です。
そこまで高くはないので、新品交換でも良いかもしれませんね。
ただ、普通に乗っていれば、あまり壊れるものではなく10年位は持ちます。
次の車検で乗り換えようかな・・・。
という時に、タイロッドエンドの交換を言い渡されると、ちょっと新品は気がひけるかもしれません。
そんな方は、中古やリビルド品でも良いかもしれませんよ。
タイロッドエンドは中古やリビルド品も検討してみてください
タイロットエンドの交換を少しでも安くするために、中古やリビルド品を使用する方法もあります。
その場合、ディーラーではなく修理工場での交換が必要になります。
ジョイントボールに問題のない中古品であれば、ダストブーツのみを新しくしているリビルド品を使う事もできます。
新品であれば5,000円ほどかかり、中古品やリビルド品を利用する事で2個合わせて数千円の節約ができます。
まず修理工場にリビルド品や中古のタイロットエンドがあるかどうか問い合わせをしてみましょう。
まとめ
タイロットエンドは普段あまり耳にしない部品かもしれませんが、車が左右に曲がるために欠かせない部品です。
操舵輪との接続部分はボールジョイントで、故障の原因の多くはボールジョイント部を覆うブーツの破損や亀裂です。
ブーツに入った亀裂から水や塵が入り込み、グリスの効果が徐々になくなっていき、ボールジョイント部が摩擦によって摩耗していきます。
摩耗したボールジョイント部分が小さくなるため、最終的にジョイント部が外れてしまいます。
故障のレベルがここまでくると、車は左右に曲がれなくなるため大事故になります。
ですから異変を感じたなら、少しでも早くタイロットエンドの交換など、修理を依頼するようにしましょう。