自動車を購入するために自動車ローンを組む。
特に何の心配せずに手続きした結果、「審査に通りませんでした」と聞いて愕然とすることがあります。
せめて、審査に落ちた理由を教えてくれたら良いですが、はっきりと教えてくれることはほとんどありません。
特に何の身に覚えもないのに、「審査に通らない」というのは腑に落ちないものです。
ここでは、自動車ローンに通らないことが多い理由や、審査でどんなことを確認しているのかを、詳しく解説します。
これから、自動車ローンを組もうと考えている人は、しっかりと確認しておきましょう。
自動車ローンの審査の基準はなんなの?
自動車ローンを含む融資の審査基準は、とても単純です。
「利息も含めて、きちんと返済できるかどうか」に尽きます。
この「きちんと返済できる」ということを確認するために、各社がそれぞれの経験やノウハウを元にして申込者の状況を確認するわけです。
そして、この確認する経験やノウハウは、貸金業にとってとても重要な部分ですので、簡単に外部へ漏らすことはしないことでしょう。
しかし、ローンを組むときに書類へ記載する内容や、自動車ローンの審査に通らない人の傾向から、概ね、審査の基準(ポイント)というものは分かっています。
つまり、これらのポイントを押さえておけば、審査に落ちてしまう確率をグッと下げることができるのです。
審査に落ちる5つの理由
自動車ローンの審査に落ちてしまう理由には、大きく以下の5つがあると言われています。
1. 過去に金融事故を起こしている
2. 現在のローンの返済額が一定額以上ある
3. 年収が200万円以下である
4. 仕事が、アルバイトやパート
5. 勤続年数が短い
じつは、これらの5つで確認している点が、上述した審査の基準でもあるのです。
つまり、これら5つの理由に合致しないようにすれば、審査に通る可能性が上がると考えて良いでしょう。
では、それぞれを詳しく解説しますので、自分に当てはまっていないか、確認していきましょう。
1. 過去に金融事故を起こしている
ここで言う「金融事故」というのは、「借りたお金をきちんと返さなかった」ということです。具体的には、以下のようなことを起こしてしまうことです。
・延滞 …… 期日よりも61日以上もしくは3ヶ月以上遅れて返済した
・債権回収 …… 財産を差し押さえられた
・自己破産 …… 自己破産を行った(裁判所に申し立てて、借金を帳消しにした)
・個人再生 …… 個人再生を行った(裁判所に申し立てて、借金を軽減した)
・任意整理 …… 任意整理を行った(弁護士などを通して、借金を軽減した)
・特定調停 …… 特定調停を行った(個人で簡易裁判所を通して、任意整理をした)
・強制解除 …… カードローンやクレジットカードなどを強制解約された
・代位弁済 …… 長期延滞が発生したため、保証会社が返済した
・債権譲渡 …… 長期延滞が発生したため、債権回収業者へ債権が売却された
「えぇ!お金なんて借りてないよ!」
と見に覚えのない方もいるかもしれませんが、実はスマホの料金未払いや遅延も当てはまるんです。
スマホの本体の支払いを、を月々の利用料と一緒に払っているのなら、それはローンを組んでいるのと同じなんです。
「遅延」については、影響がない場合もありますが、なんども遅延をしていると印象は悪くなります。
その他のことを過去に起こしてしまった人は、自動車ローンの審査に落ちる可能性が非常に高いと言えるでしょう。
これらの事故情報は借入状況などと含めて「信用情報」として、信用情報機関で保管されており、金融機関が参照することができるようになっています。
そのため、自動車ローンを組む会社とは違う会社との取引で起こしたことであっても、すべて筒抜けだと思った方が良いでしょう。
金融機関が信用でお金を貸しますので、「過去にお金を返さなかったことがある人を信用することはできない」ということです。
2. 現在のローンの返済額が一定額以上ある
自動車ローン以外にお金を借りている人は、それらの借入金額も考慮しなければいけません。
なぜなら、個人に無担保でお金を貸す「貸金業」を営む業者が従う「貸金業法」には、「総量規制」という仕組みが存在しているからです。
「総量規制」では、「個人の借入総額は年収の3分の1までに制限」されます。
そのため、例えば年収200万円の人が100万円の自動車ローンは組むことができません。
また、年収が360万円の人がすでにカードローンなどで100万円の借入がある場合は、20万円を超える自動車ローンを組むことはできません。
ただし、自動車を担保にした自動車ローン(所有者がローン会社になるもの)の場合は、この「総量規制」に抵触しません。
返すあてがあって、どうしても借りる必要があるのであれば、そういった自動車ローンを選ぶのも1つの手です。
しかし、当然ですが、年収と比べて大きすぎる借入額では、審査に通りませんので、気をつけましょう。
3. 年収が200万円以下である
銀行系の自動車ローンの多くで、申込資格に収入条件があります。
その多くが100万円から200万円以上になっていますので、年収が200万円を下回る場合は、そもそも申込資格がないという場合も少なくないでしょう。
もちろん、中には年収額を明記していない場合もありますが、それでも厳しい可能性は捨てきれません。
また、年収額の条件がなくても、借り入れられる限度額は年収に制限されますので、年収は重要なポイントになります。
もし、年収が200万円に満たない場合は、ローンを組む会社や借入金額をしっかりと考えておかなければいけません。
4. 仕事が、アルバイトやパート
必ずしも正社員でなければいけないわけではありません。
仕事についてのポイントは、定期的に収入が得られる職業かどうか、というところです。
もちろん、サラリーマンの正社員であれば、定期的な収入がほぼ保障されますので、心配がありません。
しかし、アルバイトやパートの場合は、収入に波がありますので、貸し手側としてはリスクがあるということです。
同様の理由で、自営業やフリーランス、投資家や不動産収入などでも、制限される場合があります。
5. 勤続年数が短い
勤続年数が短い場合、退職リスクがあり、かつ収入もまだ安定していないと判断されて、審査に落ちる場合があります。
特にアルバイトやパートで勤続年数が短い場合は、とても、厳しいでしょう。
また、長い間続けていたとしても、日雇い契約の仕事の場合も、勤続年数としては短く、返済期間中に仕事がなくなる可能性があるため、審査に落ちる可能性があります。
収入が高くてもこの点で審査に落ちることもありますので、転職後などは、半年以上は続けてから申し込む方が安全でしょう。
審査が厳しい銀行と、甘いディーラー
自動車ローンには、銀行系のローンとディーラー系のローンの2種類があります。
銀行系ローンは、なんと言っても金利の安さが魅力です。
ほとんどの場合、ディーラー系のローンの半分以下の金利になっており、総支払金額に数十万円も開きがあることも少なくありません。
→自動車ローンの金利相場はどのくらい?銀行とディーラーの違い
しかし、銀行が提供していることもあって、銀行系ローンは申込資格が厳しいんです!
上述しているように、年収額の下限や、アルバイトやパートだけでなく、契約社員でも申し込めないところもあります。
ディーラー系ローンは、多くの場合、販売店で勧めてくるローンです。
これは、系列や提携している信販会社が提供しているローンで、このローンを契約することで、販売店にマージンが入るようになっていることがほとんどです。
そのため、営業マンによっては、半ば強引にローンを組ませようとすることすらあります。
銀行系ローンよりも金利が高くなっており、総支払金額が上がってしまうのが大きな欠点ですが、販売店で手続きか完了するので手間がなくて楽です。
また、金利が高くなっていることや、販売店が審査に通るように努力してくれるという話もあり、一般的に審査が甘いと言われています。
そのため、前項の5つの点で不安のある人は、敢えてディーラー系のローンを使うのも方法の1つかもしれません。
審査に落ちたらどうしたらいい?
もし、自動車ローンの審査に落ちてしまったら、どうすれば良いのでしょうか?
上記の5つのポイントに自覚があるのであれば、それが原因である可能性が高いです。
借入額が大きすぎるのであれば、もう少し頭金を貯めてから購入しなければいけませんし、勤続年数が短いのであれば、半年から1年程度は働いてから申し込んだ方が良いでしょう。
アルバイトやパートでも利用できる自動車ローンがないか、ディーラーに相談してみても良いかもしれません。
保証人をつけることで、審査が通ることもあります。
ただ、完全にNGの場合は保証人の有無にかかわらず審査落ちになります。
保証人をつければOKの場合は、銀行員から「保証人がいれば・・・」という話があると思います。
また、金融事故については、概ね5年から10年は、信用情報に記録が残り続けますので、その間は審査に落ちる可能性が高いと考えておきましょう。
なお、金融機関によっては、同居家族に金融事故の記録がある人は審査に通さないところもありますので、家族に聞いてみる必要があるかもしれません。
もし金融事故があるかどうかがよく分からなければ、信用情報を開示してもらうことも可能ですので、必要であれば問い合わせましょう。
信用情報機関には、以下の3つがあります。
・日本信用情報機構(JICC)
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
信用情報機関には、以下の3つがあり、金融機関によって登録される機関が違っています(複数もあります)。
そのため、確実に確認するには、3つすべてに開示請求をする必要があるでしょう。
ただし、情報開示は有料(1,000円程度)かかります。
このように、審査に落ちてしまっても、状況をきちんと把握すれば、解決策は必ずあります。
そのため、落ちたからといって、むやみやたらに他の自動車ローンに申し込むというのは、決して行わないようにしましょう。
短期間に何度も申し込んで審査に落ちるという行為自体が、審査に落ちる理由になってしまうこともあるのです。
まとめ
安定した収入があり、ある程度の年収もある。でも審査落ち。
なぜだぁ???
と、意味わかりませんよね。
もしかしたら、過去5年以内にクレジットカードの遅延や延滞があったかもしれません。
携帯電話(スマートホン)の本体料金を月払いにしていて、延滞があると審査に落ちることがあります。
また、もしかしたら同居家族が金融事故を起こしているかもしれません。
審査落ちの理由は教えてもらえないので、審査に落ちたらしばらく時間がたってからもう一度チャレンジするか、比較的審査が甘い、ディーラーローンに申し込むといいでしょう。
ディーラーローンにすら通らないと言うのは、何らかの問題があるはずです。
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ただし、車は買って終わりではありません。税金や修理費、ガソリン代など維持費が結構掛かるので、金銭的に厳しなら無理して車を買うのはおすすめできません。