自動車ローンを組もうとしたときに、販売店で勧められるがまま、ディーラーローンで手続きをしてしまう人は多いです。
しかし、自動車ローンには、それ以外にも各銀行や信用金庫などが提供している銀行ローンもあり、後から悔やんでしまう人も少なくありません。
そんなことにならないように、それぞれどんな特徴があるのか、メリット・デメリットなどを詳しく説明していきます。
ディーラーローンと銀行ローンのメリット・デメリット
まずは、ディーラーローンと銀行ローンについて、メリット・デメリットを含めて整理しましょう。
ディーラーローン
ディーラーローンは、主に販売店から勧められる自動車ローンのため、こういう呼ばれ方をします。
しかし、実際のところ、必ずしもディーラーが直接提供している自動車ローンではなく、関連会社や提携のローン会社が提供している自動車ローンを仲介する形がほとんどです。
そのため、提供元の会社は、ディーラーそのものではなく、信販会社や消費者金融です。
ディーラーは、契約を獲得すると提供元の会社からマージンを得られるようになっているため、積極的に勧めてきます。
そんなディーラーローンのメリットとデメリットは、次のようなものです。
メリット1. 契約手続きの手間がなく、審査が早い
メリット2. 販売店が審査をアシストしてくれる
メリット3. キャンペーンで金利が大幅に低いときや車体を割り引いてくれるときがある
デメリット1. 通常は金利が高め
デメリット2. 購入する自動車を担保にするため、車の所有権がない
デメリット3. 返済期間が2年から5年程度までと短め
銀行ローン
銀行ローンは、大手の銀行や地方銀行、信用金庫や労働金庫などで提供している金融商品です。
金融機関によっては「マイカーローン」や「目的別ローン」など名称が違っています。
自動車販売店はまったく関与しませんので、事前に金融機関へ出向いて手続きを行い、借り入れしなければいけません。
また銀行から借りたお金を、銀行から自動車販売店へ直接振り込むこともできません。
そんな点も含めて、銀行ローンのメリット・デメリットは、以下のようになっています。ディーラーローンの真逆、と考えれば間違いありません。
メリット1. 金利が低め
メリット2. 車の所有権がある
メリット3. 返済期間は10年程度まで設定可能
デメリット1. 手続きに手間がかかり、審査に時間がかかる
デメリット2. 審査は厳しめ
審査はどっちが甘い?なぜ審査に差があるの
自動車ローンを組もうとローンの種類や金利などを調べたところで、審査に通らなければ意味がありません。
そのため、「審査の通りやすさ」という点は重要な要素です。
そんな「審査の通りやすさ」という点については、ディーラーローンの方に分があります。
その理由は、お金を貸してくれる自動車ローンの提供元を見れば、なんとなく分かるかもしれません。
・ディーラーローン …… 信販会社、消費者金融
・銀行ローン …………… 銀行、信用金庫、労働金庫
信販会社や消費者金融は、個人融資の実績があります。
それはつまり、不安定な職業でも返済できる人、安定した収入があっても返済しない人を判断できるノウハウが銀行などに比べて圧倒的にあるということです。
そのため、銀行であれば落とすような人でも、審査に通ることがあるのです。
それに比べて、銀行や信用金庫などは、金融庁の厳しい管理もあり、貸し付けの基準を安易に下げることができません。
また、個人向けの融資については消費者金融などに比べるとノウハウがなく、総合的な判断ができにくいのも、審査が厳しくなってしまう理由の1つです。
また、なにより大きなポイントは、ディーラーローンのメリットとデメリットに記載した、以下の2点です。
・販売店が審査をアシストしてくれる
・購入する自動車を担保にするため、車の所有権がない
ディーラーローンの場合、契約できれば(審査に通れば)販売店にマージンが入るため、営業マンが審査を通すための提案を積極的に行ってくれます。
例えば、「頭金を増やす」「連帯保証人をつける」「返済期間を延ばす」などの提案をしてくれます。
また、真偽のほどは分かりませんが、信販会社などに営業マンが直談判してくれることもあるという話もあります。
また、デメリットの2.の通り、購入する自動車を担保にしてお金を借り入れますので、通常の無担保融資よりも審査基準が大きく下がるのは、当然でしょう。
(返済が滞れば、自動車を差し押さえることができるので、焦げ付きを防ぐことができます)
このように、ディーラーローンでは、審査に通るために様々な工夫がされていますので、ただ型通りの審査をする銀行ローンに比べると、ディーラーローンは審査に通りやすくなっているのです。
金利はどっちが安い?
金利については、メリット・デメリットで書いたように、一般的には以下のようになっています。
ディーラーローン > 銀行ローン
これは、提供元の会社の持っている金融商品も同様ですので、それがそのまま適用されていると考えて間違いありません。
ディーラーローンは3%から10%程度、銀行ローンは2%から5%程度です。
しかし、銀行ローンで注意しなければいけないのは、「変動金利」が多い点です。
変動金利のローンは、その時期の経済状況などに合わせて、金利が半年程度ごとに見直されるものです。
そのため、最初は低かった金利が年を追うごとに上がっていって、ディーラーローンよりも高くなる、となる可能性も否定できません。
また、ディーラーローンでは、前述の通り、販売店によって金利優遇キャンペーンを行っている場合があります。
ただし、多くの場合、キャンペーン金利は期間限定(最初の1年だけ、など)です。
しかし、キャンペーン金利は1%やそれ以下に設定されていることもありますので、うまく利用すればトータルでディーラーローンの方が安くなることもあるのです。
返済期間や借入金額などによって、人様々ですので、しっかりと計算して利用しなければいけません。
ローンで買った場合、所有権は誰になるの?
購入した自動車の所有権については、メリット・デメリットで書いたように、以下のようになっています。
・銀行ローン …………… 本人
これは、前述しているように、所有者を販売店やローン会社にする(自動車を担保にする)ことで、審査に通りやすくなるためです。
そのため、もしディーラーローンの返済が滞るなどすると、その車を差し押さえられることもありますので、特に車を仕事に使う人は注意が必要です。
なお、購入した車は自分のものではなく、販売店やローン会社のものになりますが、だからといってその車を使用することができないわけではありません。
使用者としては、本人が登録されており、普通に使用することに問題が生じることがないようになっているのです。
しかし、もしその車を下取りに出したり、事故を起こして廃車にするようなことになったりした場合は、面倒になります。
ローンの残高をすべて返済した上で、所有者変更の手続きを行わなければ、その車を売ることも廃車にすることもできません。
この点は、しっかりと理解しておかなければ、いざというときに困ってしまうでしょう。
なお、ローン会社の中には、ローンを完済しても所有者変更を自動で行ってくれないところもあります。
そのため、ディーラーローンを組む前に、所有者の変更についてはしっかりと確認しておきましょう。
在籍確認はある?
消費者金融やカードローンなどでお金を借りる場合、職場に在籍しているかどうかの在籍確認の電話がほぼ必ずあります。
在籍していなければ、返済してもらえる目処がなくなりますので、金融機関からすれば、必須の確認と言っても良いでしょう。
そのため、自動車ローンを組む場合でも、審査の段階で在籍確認の電話があると考えるのが妥当でしょう。
もちろん、中には在籍確認をして欲しくない人もいるかもしれませんが、ディーラーローンでも、銀行ローンでも、どちらでも基本的には避けられません。
ただし、勤続年数がある程度長い(5年以上程度)場合は、納税証明書や保険証のコピーなど別途資料を提出することで免除される場合もあるようですので、一度相談してみましょう。
また、仮に在籍確認が行われたとしても、ローン会社名ではなく「スズキですがヤマダさんはいらっしゃいますか?」みたいな個人名(偽名か本名かは分かりません)でかかってきますので、自動車ローンの在籍確認だとは分かりません。
もちろん、勘のいい人であれば、分かるかもしれませんが、その場合は「クレジットカードの在籍確認」とでも言っておけば、誰もなんとも思わないでしょう。
まとめ
ディーラーローンと銀行ローンは、どちらが良いのかは、一概には言えません。
金利を重視するのであれば、銀行ローンの方が良い場合が多いですが、キャンペーン金利などを考慮すれば、総支払金額はディーラーローンの方が安い場合もあります。
「審査に通る」ことを重視するのであれば、ディーラーローンの方が安全ですが、連帯保証人を夫にするのであれば、夫の名義で銀行ローンを組んだ方が良い場合もあります。
このように、「何を重視するのか」や「その人の状況」などによって様々なのです。
なにより、販売店の営業に勧められるまま、何も考えずに契約してしまったりすることなく、返済計画をきちんと立てて、もっとも自分に都合の良いローンを選ぶようにしましょう。
・ディーラーローンは、信販会社や消費者金融から提供されており、販売店は仲介してマージンを得ている
・銀行ローンは、銀行や信用金庫から提供されており、自分で探して手続きする必要がある
・ディーラーローンは手間がかからず、審査も早い
・ディーラーローンは審査に通りやすい
・ディーラーローンの金利は銀行ローンよりも高いことが多い。ただし、金利優遇キャンペーンが行われていることも多い
・ディーラーローンを組むと、所有者が自分ではないことが多い
・在籍確認はあるが、勤続年数が長ければ相談可能な場合もある